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2018-06

1089話 磯田道史著「日本史の内幕」・・・肩の凝らない歴史随筆でした - 2018.06.01 Fri

 磯田道史著「日本史の内幕」(中公新書、2017/10 初版、2018/4 10版)(「潮」、「新潮45」、「ファイナンス」、「玉堂清韻社報」、「文藝春秋」、「朝日新聞」などに掲載のものを、加筆修正)を読みました。
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左は、いわゆる腰巻

 いまさら紹介する必要もないくらい、すでに30万部売れています。なぜ、そんなに売れたのでしょうか。
 もちろん、磯田さんが「武士の家計簿」で有名であるだけでなく、TVの歴史番組に猛烈に露出しておられることも大きいと思います。


 ですが、それだけではなく、歴史随筆というか、てのひら歴史噺といったかたちになっており、ともかく肩のこらない面白い本ではあります。

 随筆のように感じるのは、お宝のような古文書に取り組んでゆく姿に、自由な探究者の姿を重ねられるからでしょう。(ちょっと、古文書愛が強すぎるところも、笑える)
 
 この本では、1通の私的な手紙、1冊の日記や出納帳から、歴史を見る目が変わることを体験できます。

 ただ、心配なのは、今日のお役所の文書のように、改ざんや、ねつ造があった場合、歴史が捻じ曲げられそうなことです。時代によって、文書の信頼性が大きく異なるのでしょうね。たとえば、秀吉あたりは、意図的に、がさネタを垂れ流していそうです。

 そのあたりは、研究者として、多角的に検証されているのでしょう。ほとんど、検事のような仕事ですね。

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 私にとって、インパクトの大きかったTOP10は、
発掘)
・油酒樽に詰まった埋蔵金・・・(徳川埋蔵金)
・皇居の激しい空襲被害

家康)
・豊臣の金銀の行方

戦国女性)
・「築山殿」の元の名は

文化)
・毒見をさせた「毒見役」・・・(じつは)
・昭和初期の美容整形・・・(目の面積?)

幕末維新)
・西郷書簡と日本の歯科・・・(留学)
・吉田松陰の複雑な側面

ルーツ)
・浦上玉堂と磯田家・・・(つながり)

災害)
・江戸人と大火・・・(織り込み済みだった)

1085話 吉田裕著「日本軍兵士 - アジア・太平洋戦争の現実」 - 2018.05.22 Tue

 一番近い「TSUTAYA」がどんなものか覗きに行って、パッと目に入ってきた吉田裕著「日本軍兵士 - アジア・太平洋戦争の現実」中央公論新社・中公新書2465、(初版2017.12、第7版2018.3)を、購入しました。
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 昭和史を大所高所から俯瞰するような近・現代史の本としては、半藤一利著の「昭和史」シリーズがあって、大局的な観点で歴史を知るには分かりやすくてよいのですが、吉田氏の「日本軍兵士」では、地面を這う前線の兵士の目線で、アジア・太平洋戦争がどんなものだったかを明らかにしています。
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 昭和の時代は、下級兵士の悲惨な実態を描いた映画も多数つくられましたので、良い悪いは別として、戦争の現場がどんなものだったのか、多少は知ることができました。しかし、最近は、精神論で、抒情的に仕上げた作品もあるようです。


 この本「日本軍兵士」では、数量データの米、独との差にも注目して、兵隊さんの置かれた環境を説明していますので、説得力があります。
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 「へぇ~!」といった項目の一部を、紹介します。
自分が兵隊になったつもりで、想像してください。


■航空兵などに、ヒロポン(覚せい剤)を、ブドウ糖と一緒に、疲労回復剤といって注射していた。・・・当然、習慣性や異常行動などの副作用がある

■戦闘機による特攻攻撃の際、突撃の直前に機体から爆弾を切り離した方が、爆弾の落下速度が上がって破壊力が高まり、うまくすれは特攻機の帰還が可能なのに、体当たりを強要するため、爆弾を機体に固定するようになった。その結果、機体の空気抵抗のため衝突速度が下がり、戦果が上がらなかった。(戦果より、死ぬのが目的に)

■自動車が足りないし、あっても、悪路を踏破する能力が不足していたので、歩兵は、数十キロの装備を担いで歩くしかなかった。しかも、靴は粗悪品で、バラバラになってしまうので、わらじのようなものでしのいでいた。

■餓死する者多数。栄養失調による結核の蔓延。マラリア罹患。自殺者多数。動けない兵士を殺害。

■もちろん歯磨きもできず、歯医の軍医もほとんどいない。風呂も入らず、水虫などが悪化、指切断。

■古参兵のいじめによる精神障害からの自殺が常態化。兵隊やくざの存在。食料などの略取は普通で、住民を肝試しで殺したり、強姦したりするものも少なくない。軍紀違反だが、ほとんど放任。

■無線機が巨大で可搬性が無い。部隊間の連絡は有線でやっていたので、戦闘が始まれば、すぐに途絶。連絡の取れないまま、バラバラな行動をするしかない。(米軍は、携帯可能な無線機を使用)
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コメント)
 もともと、短期戦の能力(軍備、資金、制度)しかなかったのに、戦争が広域化・長期化したことで、補給の弱さが前面に出たということは、異論がないと思います。
 その影響をまともに食らったのが前線の兵士で、わけのわからない国で、餓死、衰弱死していくのは無念だったでしょうし、とぼしい武器弾薬では、玉砕しか選択できなかったわけです。
 戦勝国による東京裁判を批判する人がいますが、それとは別に、日本国民側から戦争責任を追及する裁判があるべきだったのではないでしょうか。

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1082話 半藤一利著「世界史の中の昭和史」 - 2018.05.10 Thu

 半藤一利著「世界史の中の昭和史」を読み進めていますが、これが面白い。(平凡社、2018年2月)
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 世界史年表と日本史(昭和史)を、単に並べただけでは分からない相関関係が、分かりやすく説明されています。というか、国際情勢と日本の動きが、じつは、強く結びついていたんですね。

 アメリカや中国の動きだけでなく、ドイツのヒットラーとか、ソ連のスターリンとかの動きが、日本に、わずかな時間差で影響を与えているのですが、それぞれ最適解ではなく、「えぇ~!」といった、今からみるとズレた反応となっていたようです。そして、ズルズルと戦争へ・・・(たぶん、これから読む)

 まあ、このところの中・朝・韓・米がボールをけり合う激動の国際情勢の中で、立ち位置に悩む日本(政府)の姿をリアルタイムで見せられているので、ちょっとビビります。どんな国も、なめているとヤバいですよ。

 ということで、まだ途中ですが、絶対おすすめできる本と言えます。

おまけ)
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「あぁ、しんど!」

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「それでも、未来に向けて歩みを進める、ナンチャッテ」

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「もうちょっとで、満水」

977話 「白鳥古墳」 親ヤマト王権らしいけど - 2017.05.09 Tue

 徳川家が天下を治めるまでの世の中の動きは、怪しげな点は多々あるにしても、ほぼ分かっていると言えるでしょう。しかし、古代のヤマト王権が成立する過程は、具体的に、どれだけ分かっているのでしょうか。
 天孫降臨と言われてもねぇ。(卑弥呼と天皇家の関係は?)(関係ない?)

 文字の記録が残っていない時代でも、物や絵で、ざっくりとしたところは伝わるはずですが、邪馬台国についてすら、決定打は、まだのようです。

 発掘調査みたいですが、ある家の押し入れから出てきた明治時代の村長さんの写真を見て、「あれ~!、〇〇君に似てる」という声があがりました。先祖に、村長をやった人物が存在するといううわさは、ある程度伝わっているそうですが、勝手に、これで間違いないと言っていました。(部外者から見ると??)

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 そんな調子で、古代史も、見直しのきっかけとなる画期的な物証が見つかれば、コペルニクス的な転回をみせるかもしれません。(たとえば、当時の為政者=渡来人)
 しかし、近所の県内3番目の大きな古墳すら、ヤマト王権との関係が深いと言われながら、本格的な発掘は行われていません。
名古屋市の志段味古墳群の「白鳥塚古墳」です。(愛知県内最古、4世紀前半)

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 今もかなりの部分は、こういった鬱蒼とした林といった感じですが、

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 「大塚古墳」同様、最近、階段が設けられました。

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右が円墳部(高さ15m)に向かう階段、左は、前方部に向かう階段。

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 全長115mもあるので、全貌が分かりにくいんですが、斜めから見て、左が前方部、右が後円墳部分です。(魚眼レンズが欲しい)

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前方部のみではこうなってまして、そんなに高くないように見えます。

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 新たに造られた階段を登ってみましょう。

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 階段の途中から見える東谷山です。山頂ほか数カ所に古墳があります。手前の空き地は、多分売り物件です。JR高蔵寺駅、スーパーマーケット、ドラッグストアに近く(徒歩圏内)、県大看護学科が隣で、東谷山フルーツパークへも至近距離です。バスターミナルへも数分。なんのこっちゃ!

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 墳頂部に再現された石葺きです。レーダー地下探査によると、この下に2柱の埋葬施設と思しきものが埋まっているとのこと。でも未発掘です。

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 墳頂部から前方部を見る。高低差がキツイ。一旦降りてから前方部へ向かうことにします。

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 石葺きの再現部分。もっと石英が多かったのかもしれない。古くは、全体が白い石で覆われ、輝いていたので白鳥と呼ばれるようになったということです。

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 なお、前方部の周りは、すぐ下が川で、崖になっているので、気をつけてください。


 それにしても、ドラマ化できるくらい古代の天下統一のデーターが集まると面白いでしょうね。地元の豪族が活躍したり、東アジア全体が絡んでいたりして。地殻変動や気象変動も関係ありそう。
 直接的には、鉄の武器や馬の数、軍師の存在、兵士の訓練、食料、砦の造り方などで、差がついたのでしょうか。むしろ仙術?心理作戦?中国的か、ギリシャ的か?
 妄想がひろがる。

938話 加藤陽子著「戦争まで…歴史を決めた交渉と日本の失敗」今とピッタリ - 2017.01.30 Mon

 加藤陽子著「戦争まで…歴史を決めた交渉と日本の失敗」の、中身の紹介というよりも、読んだ後、世の中(とくに政治の世界)に対する見方が変わった点について書いてみます。
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 2016年8月10日に朝日出版社から発行された初版を、すぐに手に入れたのですが、なぜか、読み終えるのに4ヶ月もかかりました。
 高校生向けに講義した内容ですし、受講生との対話も織り込まれていて、難解な本ではないのですが、連続的に集中して読むことができなかったのは、ボケが始まったということでしょうか。

 言い訳としては、情報量がすごく多いことが挙げられます。外交交渉などの見たこともないような議事録や手紙が、あまり要約せずに提示されていますので、それを深読みしようとして、どっと疲れました。

 講義は、日本が、日中戦争を拡大していって、アメリカと戦争を始めるまでの交渉について、結果がこうなったということよりも、その経過を、資料に基づいて詳しく見ていったものです。

 それにしても、政治(内政)・外交の世界が、嘘、欺瞞、事実・情報の隠蔽に満ちていることが、よく分かりました。(今日では、トランプ大統領をみていれば、よくわかりますが)

 日・独・伊三国同盟の日本側の狙いと実体が、大きくズレていたことは、結果論ではなく、交渉過程からもわかります。

 アメリカは、欧州と太平洋の両面戦に引きずり込まれることを、かなり嫌がっていたので、交渉の余地は、あったようなのです。
 また、当時の日本のトップは、アメリカと戦争しても勝ち目のないことは分かっていましたし、第一、石油の備蓄が2年分しかないわけですから、ちょっと戦って、あとはどこかの国に調停を頼むしかないことを承知で、ずるずると行ってしまったということです。

 そこには、開戦直前にローズヴェルト大統領が天皇に宛てた、妥協を含んだ書簡が、陸軍によって15時間も止め置かれていたように、戦争に無理矢理向かわせる暴力的な力が働いていて、まともな交渉ができない状況(空気)があったというわけです。

 どうして、そんなことになったのか。
 国民が正しい事実を知らされていなかったことに加え、多くの国民が受けた教育では、日本が神国であり、ナンバーワンみたいな教育がなされていて、政府が妥協することを国民が許さない空気が流れていたということです。
(中・韓・朝の反日教育を思わせる)

 また、マスコミも、次第に大本営発表をさらに盛って、煽り立てる方向に変わっていったことも、大きいでしょう。
(アメリカのトランプ支持層とTwitterの関係に似ていますが、いまのところアメリカのマスコミは、頑張っています。がんばれ、CNN、がんばれ、ニューヨークタイムズ)

 私(おっさん)は、本の内容から脱線気味の支離滅裂な感想を書いていますが(とくに()内)、文中の高校生の質問や解答は、ものすごくレベルが高く、ホンマに高校生かと疑いたくなるほどです。しかし、他の受講生が、同じように恐れ入っていることから、本当にスゴイ高校生がいるのだと、驚かされます。
 自分が優秀だと思っている高校生諸君、ぜひ、この本を読んで、上には上がいることに感動してください。同じような奴がいると思うのも勝手ですが。

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Author:dadebeso
愛知県尾張東部在住. 宗教的なものではありませんが,場所の持つ力に関心があります.また,ものごとの起きるタイミングという意味での時の力にも関心があります.そのほか,落語,オーディオは,子供のころからの趣味です.

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