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2017-07

1003話 劇団民藝「蝋燭の灯、太陽の光」と、トランプ支持層 - 2017.07.21 Fri

 名演7月例会で、劇団民藝による「蝋燭の灯、太陽の光」を観ました。
(名演:名古屋演劇鑑賞会クリックでホームページへ)

 原作:テネシー・ウィリアムズ、訳:吉原豊司、演出:高橋清祐

(会場:名古屋市民会館ビレッジホール、日時:7月18日 18:30-21:20)


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 宣伝ビラから
左上男性:ブラム・ピルチャー(父親・炭鉱夫) 千葉茂則
左上女性:へスター(ブラムの妻) 箕浦康子
右上女性:スター(ブラムの娘) 桜井明美
右上男性:バーミンガム・レッド(炭鉱夫で組織化を推進) 吉岡扶敏
 下中央:ファーン(ブラムの長男ジョンの未亡人) 日色ともゑ

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下の写真 右下から2段目右:ジョエル(ブラムの次男) 細山誉也
下の写真 右下から2段目中央:ルーク(未亡人ファーンの息子) 岩谷優志 

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 「欲望という名の電車」で有名なテネシー・ウィリアムズのごく初期の作品です。
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超アブスト)
 1930年前後のアメリカ南部アラバマ州の炭鉱町。

 炭鉱夫プラムのところに、長男ジョンの嫁ファーンが子供を連れて住み着く。長男ジョンは、他の街で炭鉱夫だったが、事故で亡くなったのだ。

 未亡人ファーンは、必死に働き、息子ルークを高校に行かせようとしている。息子を炭鉱夫にしたくないのだ。

 5年後、進学に資金が少し足りないということで、ルークが炭鉱へ働きに出る。そして、恐れていた事故が発生。プラムの次男ジョエルが死ぬ。

 その事故を機に、レッドという男を中心に、労働条件改善のストライキが始まる。
 炭鉱側の差し金で、炭鉱直営店では食品も買えなくなった。賃金が炭鉱直営店でしか使えない金券で支払われていたため、他の街から食料が買えない。ストライキ続行には、未亡人ファーンが貯めていた現金が必須となった。

 
 当然、ファーンは拒否するが、レッドの説得で考え方が変わり、全額を提供する。そのおかげで、ストライキが続けられ、炭鉱側との合意に至った。

 後日、なぜ、お金を提供する気になったかという問いに対してファーンは、「それまで蝋燭の灯の届く範囲しか見えていなかったけれど、話を聞いて、太陽の光のもとで見えるような広大な風景が見えて、いろいろ分かったから」と答える。
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感想)
 はじめから終わりまで、もめごとや事件の連続で、ハラハラさせられた。
・プラムの妻へスターが、息子の嫁ファーンを受け入れられるか
・経営者側の個人的な嫌がらせに耐えられるか
・落盤事故の被害
・ストライキが成立するか
・ファーンの資金提供がどうなるのか
・レッドの身の安全
といった、切羽詰まったことばかりだ。


 一方で、笑えるシーンは無かった。泣けるシーンも乏しい。感情のベクトルで言うと、怒りと悲しみ(哀しみ)が支配していた。

 ファーンが考えを変えるところ、レッドの口説きの部分が核心のはずだが、あまり説得力はなかった。
「蝋燭の灯、太陽の光」という説明は、理屈としてはよく分かるが、ファーンの心の変化を本当にあらわしている言葉だろうか。

 また、ストライキが成功しそうなところで終わっていて、そこに、やや喜びを感じさせるが、ホンマにうまくいったのだろうか。


 以上は、脚本に対する印象であるが、演技の方はよく練られていた。といっても、私にわかるのは、登場人物へのなりきり度ぐらいだが、日色ともゑはもちろん、箕浦康子、岩谷優志など、さすが民藝といった感じだ。

 
 さて、表題にトランプ支持層と付けたのは、炭鉱夫のプラムが、手紙が読めないだけでなく、保守的で蝋燭の灯のように極めて狭い視野でしか物事を捉えられない人物として描かれていて、これこそ現代のトランプ支持層のように見えたからである。実際、炭鉱の街では、トランプ支持者が多いということであり、様々な問題が露呈しても、支持を続けているのはこんな人たちのようだ。

1001話 記憶をたどる…4日前(狂言の楽しみ方講座(2)) - 2017.07.15 Sat

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 名鉄瀬戸線 新瀬戸駅

 随分前のような気がしていますが、狂言の楽しみ方講座(その2)を聴講のため名古屋市内へ向かったのは、4日前のことです。
 7月11日(火)14:00-15:45、名演会館会議室、講師 和泉流狂言師 佐藤 融さんといったことも書いておかないと、この暑さで、すぐに記憶から抹消されてしまいそうです。(政府高官なみ)

 なお、この日は電車を使ったので、車中で「ホモサピエンスの誕生と拡散」を読み終えることができました。


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 講座2回目は、登場人物を中心にした狂言の種類の紹介と、能と狂言の関係の説明です。とくに、後者の説明に時間を割いておられました。(はじめに、ウズラの鳴き声の補足があったのですが、聞いたことがないので、チンプンカンプン)
 
 登場人物としては、いずれも怪しげな「山伏、僧」、「むこ」、「神」、「鬼」、「いたずら者」で、能とちがって、立派な、あるいは強い人物ではなく、インチキくさいのが狂言では、お約束です。


 能との関係では、司会進行のミトマさんの資料にあった「能のパロディ」という部分は省略し、「能に参加する狂言」を中心に実演を交えて解説。
 間狂言(あいきょうげん)として、
  語 間(かたりあい):能を受けての語り部的な役割
  応答間(あしらいあい):能の中の脇役として出演
  劇間(げきあい):能と能の間に入れる(ちょっと軽い)演劇として


 能と狂言を交互に上演するのが標準的

 死者からのメッセージを伝える役(例えば、歴史的事件を伝える)もある。

 この日の実演は、「那須與市語(なすのよいちかたり)」でした。
 語り手と與市、判官、源氏と平家の者、後藤兵衛実基を、位置を移動しながら一人で語り分ける。

 通常の1.5倍速で演じたということで、演じ終わってから息を切らしておられました。

 私の方は、判官が與市をほめて「・・・人馬には息をつかせよ。おことはつうと 奥の間へいて。乳すはい 乳すはい」の台詞の「乳すはい 乳すはい」が気になってしかたがなかったのですが、この乳すいは、濁り酒を飲むという意味もあるそうです。

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 ということで、今回は、話が、やや断片化していたのか、当方が寝不足だったのか、ちょっとモヤモヤが残りました。一方、外国人と思われる女性が、訛りながらも熱心に質問していたのが印象的でした。
 これから狂言を観る機会があったら、すこしは見方が変わるかもしれません。講師に感謝です。

993話 「狂言の楽しみ方」講座に行ってみた - 2017.06.22 Thu

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 場所は、名演会館 画面中央のベージュの五階建て(名古屋市東区東新町) このあたり寺ビルが多い
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 名演会員の有志「マチネの会」主催の「狂言の楽しみ方」講座に参加しました。(名演:名古屋演劇鑑賞会) (名演会館会議室、2017年6月20日、14:00-16:00)
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 講師は、和泉流の能楽師狂言方の佐藤 融(さとう とおる)さんです。
 1969年生まれ、5歳で初舞台、2011年には、重要無形文化財保持者に認定されておられます。


 簡単なレジメが用意されていましたが、実演もあり、話の情報量が、紙の数十倍は、ありましたので、話の中から「へぇ~!」と思ったところを紹介します。
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1. 能と狂言のちがい:
イメージしていたことと変わりませんが、能が歴史・物語・故事から取材しているのに対し、狂言は現実生活の中からの取材ということです・・・とはいえ、あくまでも数百年前の現実生活なわけですが、実演を観ると、昭和のコントとも相通じるものがあります。

 なお、能は主に仮面(面)を使用するのに対して、狂言は主に素面(直面 ひためん)でやる・・・ひためんという言葉は、はじめて聞きました(広辞苑にはある) 狂言で面をつける場合は、動物、神仏、老人ほか、不細工女とのこと、面でないと表現できないほどの不細工?・・・現代だったら差別とか言われそう
面をつけていると、どうも想像以上に動きが難しくなるようです。

 あと、能が悲劇で、狂言が喜劇という風には分けられないということです。・・・いろいろな演目がある
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本文に関係ないが 会館の近所 もじゃもじゃの「多門亭」うなぎ、天ぷらの老舗  CBCパーキング(含笑長屋のころ常用)
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2. 能の(中の・一体のものとしての)狂言:

 幽玄の上類のおかし・・・「よき人の良き笑い」をめざす・・・どぎついネタ、表現を抑える

(なお、太郎冠者の冠者は、スパイとかではなく、たんに大人の男というほどの意味だそうです)

「しおる」と「泣く」の演技を実演で・・・能は、ほんとに象徴的、狂言は写実的・・・いずれも、いい感じで伝わります

擬音・擬態の例を実演で・・・鐘の音がメインのテーマになっていたり、ウズラの声がネタになっていたりする・・・狂言であっても、リアルというよりも様式的


落語でいうと落ちにあたるのは、追い込み止め(やるまいぞやるまいぞ・・・)、叱り止め、などなど
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3. 実演
 説明中も突然、実演が織り込まれたりしましたが、最後は「綯綯(なわない)」を、台詞中心に、ほぼ全部実演。
(一人なので、落語のように左右向きを変えて、ふたりを演じ分ける)
・・・ともかく声がでかい、しかも割れない、キレキレの活舌・・子供のときから、さんざんトレーニングしたとか・・・発声が基本だ
舞台では、実際に縄を綯うそうだ・・・私もでかい声を出したい。気持ちが良さそう。

 講演を1回聞いただけで、佐藤さんのファンになった

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   名演会館入口 名作映画館でもあります。詳細は、ネットで見てね

986話 劇団俳優座「フル・サークル -ベルリン1945-」 - 2017.05.31 Wed

 名演(名古屋演劇鑑賞会)の5月例会で、劇団俳優座公演「フル・サークル -ベルリン1945-」を観ました。
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 表題の「フル・サークル」というのは、英和中辞典によると「完全に1回転して」という意味のようですが、仮に邦題を「一巡」としても、なんか違う感じがします。「元の木阿弥」であれば、ナチスの全体主義から解放されたが、別の全体主義に代わっただけだったという部分は伝わります。あるいは、円環とすると、理念重視主義の輪っかに捻りつぶされそうといった意味も込められるのでしょうか。

 第二次世界大戦のベルリン陥落前後の2日間。仮設収容所に近い、壊れずに残っているアパート3階の一室で展開される、時代の急変を背負わされた個人個人の必死のあがきのようなものを、コミカルな部分も交えながら描いています。


超要約)
 朝、アンナが寝ているシーンから始まる。アンナは、逃げてきた政治犯ローデをかくまう。そこへ、ゲシュタポ隊長シュミットらが捜査に入ってくる。シュミットは、すでに捕らえていたユダヤ人政治犯の化学教授ヨーゼフ・カッツとローデを会わせて、尋問する。それに対して教授は、知らぬと言い張り、最後は・・・
 そうこうしている間に、ヒットラーの死が報じられる。

 翌朝、ナチスドイツの敗北が確実になっている。するとゲシュタポ隊長シュミットが、ある卑怯な行動に。
 コロヴキンらソ連軍が部屋に現れ、ローデと、シュミットを尋問する。
 結局、シュミットは・・・
 ローデは、開放されそうになるのだが・・・
 最後は、また、アンナが寝ているシーンで終わる。


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原作:エーリヒ・マリア・レマルク
潤色:ピーター・ストーン
訳・演出:勝田安彦


感想)
 妙なところで感動しました。どこかというと、ゲシュタポがアンナの部屋に入り込んで尋問を続けている間、長身のゲシュタポの隊員(藤田一真?)が、ドアの横で仁王のように立ちはだかっている姿にです。動かないことが、こんなにも威圧感を与えるのだということ。この不気味さは、演劇の特性で、TVや映画などレンズを通した平面画像では、伝わらないのではないでしょうか。

 ブロードウェイでの公演は受けなかったようですが、ベルリンの西側、米英連合軍が解放した側を舞台にして、めでたしめでたしとなっていれば、受けたかもしれません。私も、問題を提起したままで、解消されていない物語は、重すぎるように思います。しかし、今日の日本を覆う戦前回帰のような空気からは、全体主義的な締め付けが始まっているように感じられ、70年の紆余曲折を経て、結局、フル・サークルということになり、社会は何も変わっていなかったという終幕につながっているのかもしれません。

 一方で、アンナの「なんとしても生きる」というという姿勢は、「逃げるのは恥だが役に立つ」と同様、恰好悪いけれど、宇宙的な真理でしょう。斉藤深雪の演じる、したたかで、しなやかなアンナは、最強かもしれません。

 悪夢のような話かもしれません。脳が疲れて、この夜、8時間連続爆睡しました。(普段は、2時間ごと目覚める)
不眠の方は、お試しください。(効果には個人差あり)

974話 パラミタミュージアムで「有元利夫展」を見る - 2017.04.29 Sat

 パラミタミュージアムでの有元利夫展の新聞広告を見て「おっ!」と思わず声をだしましたが、共同生活者は、もっと反応してすぐに見に行こうという話になりました。
 自宅のあちこちに絵葉書が飾ってあり、何も知らずに、どこか欧州の古い絵だと思っていました。そんな絵が新聞広告になっていて、早逝した天才画家「有元利夫」という人の作品だと知りました。
 そんな真っ白な(無知)状態なので、かえって作品群を見たくなりました。
 実際には、いろいろあって、連休前日になってしまいましたが。

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<パンフレット>

img1704025_convert_20170429211626.jpg画像をクリックすると拡大できます。
<パンフレット裏面>

 パラミタミュージアムは、近鉄湯の山線「湯の山温泉駅」手前の「大羽根園駅」で、下車。
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 単線ですが、そこそこの本数があります。

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 線路沿いに、鈴鹿の山を見ながら5分程度で、ミュージアムに到着します。

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 無料駐車場には十分余裕があります(100台)。前回は、車で来ました。

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 館内は、当然、基本撮影禁止。これは、スロープ式廊下部分。ここを通って2階の会場に向かいます。廊下とはいえ、片岡球子のスゴイ絵が掛かっています。

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 会場では、入ってすぐ、2枚目の絵に掴まれました。(は、2016年6月発行の画集から。(館内で購入))
 透明な主体が、画面から浮き上がって、光を放っているのです。
 あとで、ビデオで紹介していたのですが、画法というか、技法・画材にとんでもなく凝った画家ということです。
会場が静かなこともあって、集中してみることができました。


 なお、土産に画集、絵葉書集のほか、こんなものも買いました。
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 稲垣足穂の「一千一秒物語」の文庫本です(昭和44年12月発行、平成16年改版、平成27年9月50刷、新潮社)。有元画伯が、テーマにとりあげていたということで、画集と一緒に置いてありました。自宅にもあるようですが、発掘が面倒なので、購入しました。

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 なお、常設展(これは廊下)も、歳を経てみると、見え方がずいぶん変わるものです。作品のすごさが、以前よりも強烈に感じられました。

 話は変わりますが、近鉄特急は快適ですが、準急はしんどいですねぇ。中央線に乗り換えたら、同じ準急でも、天国のように感じました。翌日、つまり今日は、体調がいまいちです。(そういえば、3日前にワクチンを、うったんだ)皆様もお大事に・・・

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Author:dadebeso
愛知県尾張東部在住. 宗教的なものではありませんが,場所の持つ力に関心があります.また,ものごとの起きるタイミングという意味での時の力にも関心があります.そのほか,落語,オーディオは,子供のころからの趣味です.

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